環境中期計画の進捗
2020年度より、環境中期計画「SEKISUI環境サステナブルプラン AccelerateⅡ」(2020-2022)のもと、以下の重要実施項目について、中期計画最終年度である2022年度に達成すべき目標を立て、取り組みを推進しています。
自然および社会資本のリターン率向上
統合指標「SEKISUI環境サステナブルインデックス」での進捗把握:自然資本へのリターン率100%以上を持続
製品による地球および社会のサステナビリティ向上
サステナビリティ貢献製品の売上高:8,000億円(売上高比率63%相当)
気候変動課題に対する取り組み
[脱炭素化]
購入電力の再生可能エネルギー比率:20%
温室効果ガス排出量削減:9%以上(2013年度比)
資源枯渇課題に対する取り組み
[再資源化の促進]
廃棄物の再資源化率:現状把握、ベンチマークを設定(2025年度にはベンチマークの2倍以上)
水リスク課題に対する取り組み
[水資源の維持]
水使用量の多い生産事業所の取水量:7.8%削減(2016年度比)
COD排出量の多い生産事業所の河川放流水のCOD総量:14.3%削減(2016年度比)
[水リスクの最小化]
流域特有の水リスクの把握と課題となる取り組みの実施
従業員の課題解決貢献力の向上
SDGs貢献活動の推進
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長期ビジョンからバックキャスティングした環境中期計画の推進
2020年度から3ヶ年計画で環境中期計画「SEKISUI環境サステナブルプラン AccelerateII」を推進しています。環境長期ビジョン「SEKISUI環境サステナブルビジョン2050」で描いた2050年のあるべき姿に向かってバックキャスティングを行い、設定した中期計画ごとのマイルストーンを目指し、各取り組みを実施しています。
環境中期計画においては、当社グループが取り組むべき重要な環境課題を「気候変動」「水リスク」「資源循環」と定め、それらの課題解決を加速するために、特に重点的に取り組んでいる項目は、サステナビリティ貢献製品の市場拡大と創出、環境負荷の低減、環境の保全です。
サステナビリティ貢献製品の前身の制度である環境貢献製品制度は、2006年に始動して以来、環境課題の解決に対して貢献度が高い製品に関して、社内基準をもって登録を行い、全社製品におけるその比率を拡大することを社会にコミットし、社会課題解決型の製品の創出と市場拡大を推進してきました。
2017年度、環境貢献製品の対象を自然環境だけでなく、人的資本や社会資本をも包含する社会環境にまで広げました。当社グループが目指しているのは「人々のくらし」と「地球環境」の向上であり、「人々のくらし」の向上には「福祉と健康の促進」や「強靭なインフラの確保」、「地球環境」の向上には「気候変動の緩和と対応」など、2015年に国連が採択した「SDGs(持続可能な開発目標)」で示されている課題の解決が必須と考えます。まずはこれらの課題解決に軸足を置いて取り組みを推進していきます。企業および製品のサステナビリティ向上に向けて、サプライチェーンにわたってガバナンス(内部統制)、顧客満足、プロセス、サプライチェーン評価などの確認・評価を実施していきます。
気候変動課題に関しては、2050年には温室効果ガスの排出をゼロにする長期目標を立て、その達成のために、Scope2である購入電力由来について、2030年にはすべて再生可能エネルギーに転換するというマイルストーンを設定しました。今中期計画では、2022年度に20%転換することを目標としています。生産工場における使用電力を再生可能エネルギーへの転換を積極的に推進するため、2020年度以降は“エネルギー調達革新”の時期として、転換支援策も始動しています。Scope1である燃料由来については、老朽化した設備の更新による効率化や電気へのエネルギー転換、そして生産現場での地道な省エネルギー活動を継続的に推進しています。
水リスク課題に関しては、従来から引き続き全社で使用する水の量を低減し、循環利用を進めるとともに、河川に放流する水の質をCOD指標においても向上するように努めていきます。また、地域固有の水リスクを把握し、リスクの高い事業所に関しては、地域に応じたリスク低減の対策を考え、実行していきます。
資源循環に関しては、2030年に向けて業容が倍増する中でも廃棄物総量の低減(リデュース)に努める一方で、再資源化(リサイクル)を重視し、2050年には循環型社会、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みを推進していきます。
資源循環に資する製品、技術としては、現在、廃棄物から微生物の力でエタノールを生産するバイオリファイナリー(BR)技術に関して実証を行い、社会実装に向けて進めています。
環境課題に対しては、サプライチェーンが一丸となって取り組むことで、解決が加速すると考え、これまで以上に製品のライフサイクルにわたるサプライチェーンマネジメントを重視して施策を展開し、活動を行っていきます。
2021年度の計画と実績、2022年度の計画
サステナビリティ貢献製品の市場拡大と創出
-
2021年度目標
売上高:7,500億円(売上高比率65%相当)
実績
7,724億円(売上高比率66.7%相当) -
新規登録件数
2021年度目標:6件
2021年度実績:28件
目標達成
<要因分析>
2021年度は、資源循環に資する貢献を基準の見直しによって明確化したことで、従来製品における資源循環性の評価、認識を深め、28件中6件は資源循環に資する製品が登録となりました。特に原料サプライヤーと連携して実施しているPVA樹脂の水平リサイクルについては貢献度の高さに加え、サステナビリティ貢献製品全体の売り上げ増加にも大きく寄与しています。
また電子デバイス関連の中間素材としてお客様の工程における温室効果ガス排出量を低減する製品や、5G進化に向けて必要な機能向上を支える製品についても、低炭素、脱炭素要求の高まりを受けて、売上が拡大し、サステナビリティ貢献製品全体の売上高向上に寄与しています。
<製品による課題解決に対する貢献効果の定量化>
2021年度には、環境貢献製品売上高の6割相当の製品による環境価値を把握しました。
また、社会資本へのリターン、価値に関しては、インパクト加重会計の手法を用いて検討を進めています。
見える化した製品・事業の環境および社会的価値(課題解決への貢献度)を活用して情報公開を行い、社会に対して啓発を行っていくとともに、事業にもフィードバックできる活動を強化していきます。
環境負荷の低減
GHG排出量:
2021年度目標 8%以上削減(2013年度ベンチマークより)
21.1%削減で目標達成
省エネルギー:
2021年度目標 エネルギー使用量生産量原単位1%削減(2019年度ベンチマークより)
1.5%削減(国内1.0%増加、海外4.6%削減)で目標達成
<要因分析>
-
GHG排出量:自家消費型太陽光発電設備の導入、購入電力の再生可能エネルギー由来への転換による効果により、生産量は回復しましたが削減となりました。
-
省エネルギー:生産量の回復によりエネルギー使用量の生産量原単位も削減となりました。
廃棄物発生量:
2020~2022年度目標 生産量原単位を3年間で1%以上削減(2019年度ベンチマークより)
6.7%削減(国内1.9%削減、海外14.1%削減)で目標達成
<要因分析>
-
国内:高機能樹脂製品の生産工程で発生する端材の原料戻しによる廃棄物発生量の削減を継続、生産量の回復により原単位も削減
-
海外:環境・ライフラインカンパニーの事業所で廃棄物発生量の削減を継続、生産量の回復により原単位も大幅に削減
今後は、生産工程で発生する廃棄物の削減のみならず、サーキュラーエコノミーの実現を目指し、再生資源の利用促進や製品、廃棄物の再資源化の推進に取り組んでいきます。
環境の保全
SDGs貢献活動※
事業所、あるいは従業員が中心となって実施している環境保全や次世代育成などの社会貢献活動については、従来の活動を継続しながらも、活動の際にSDGsを意識するよう意識の転換を図ることを推奨します。
どの社会課題の解決に焦点をあてるか、なぜその社会課題解決に取り組むのかをSDGsを軸に考えることで、従来活動の意義が明確になり、活動の見直しやさらなる効果の向上が期待できると考えています。
2020年度は、新型コロナウイルスの影響もあり、実際の活動は縮小していましたが、2021年度より、上記の考え方に基づきできるところから活動を進めました。
詳細は「社会・SDGs貢献活動」を参照
〇・・・2021年度目標達成
×・・・2021年度目標未達成
項目 | ねらい | 指標 | 基準年 | 中長期目標 | 2021年度の目標と実績 | 対象 | |||||||||||
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中期目標 (2020~2022) |
2030年度 目標 |
2050年度 目標 |
2021年度 目標 |
2021年度実績 | 自己評価 | 参考ページ | 国内生産 事業所 |
研究所 | 国内 オフィス |
海外生産 事業所 |
海外オフィス | その他 | |||||
自然・社会資本の リターン率 |
企業活動を通して“⽣物多様性 が保全された地球”を実現 |
SEKISUI環境サステナブルインデックス ⾃然資本へのリターン率 |
ー | 100%以上を持続 | 100%以上維持 | 117.7% | ○ | 詳細 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
サステナビリティ貢献製品 | 経済的価値 の向上 |
価値(社会的・経済的価値)の 最大化 |
サステナビリティ貢献製品の売上高 (伸長率(2019比)) |
ー | 8,000億円 伸長率22%相当(2019比) 売上高比率63%相当 |
課題解決型製品の 売上⾼拡⼤ |
環境・社会のサステナビリティを⾼める製品とサービスにより、企業の持続的な成長をけん引 | 7,500億円 (比率65%目安) |
7,724億円 (比率66.7%) |
○ | 詳細 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
新規登録製品の件数 | ー | 6件/年 | 6件/年 | 6件/年 | 28件/年 | ○ | 詳細 | ○ | ○ | ○ | |||||||
環境負荷低減 | GHG | 脱炭素化・GHG排出量ゼロ | 購⼊電⼒の再生可能エネルギー⽐率 (自家消費型太陽光発電を含む) |
ー | 20% | 100% | 100%維持 | 5% | 19.7% | ○ | 詳細 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
GHG排出量 | 2013 年度 | ▲9% | ▲26% | ▲100% | ▲8% | ▲21.1% | ○ | 詳細 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
エネルギー 使⽤量 の削減 |
⽣産時のエネルギー効率の改善 およびエネルギー費⽤の削減 |
エネルギー使⽤量の⽣産量原単位 | 2019 年度 |
▲3% | ▲10% | ー | ▲1% | ▲1.5% | ○ | 詳細 | ○ | ○ | |||||
資源循環 | 再資源化促進 | 廃棄物発⽣量の⽣産量原単位 | 2019 年度 |
⽣産量原単位 ▲1%/3年間 |
ー | サーキュラー エコノミーの 実現 |
生産量原単位 ▲1%/3年間 |
▲6.7% | ○ | 詳細 | ○ | ○ | |||||
紙使⽤量の⼈数原単位 | 2019 年度 |
▲3% | ー | ▲1% | ▲29.9% | ○ | 詳細 | ○ | ○ | ○ | |||||||
棟当たりの廃棄物発⽣量 | 2019 年度 |
▲6% | ー | ▲2% | ▲6.3% | ○ | 詳細 | ○ | |||||||||
⽔リスク | ⽔資源の維持 | ⽔使⽤量の多い⽣産事業所の取水量 | 2016 年度 |
▲10% | ー | ー | ▲10% (中期3年間) |
▲2.4% | × | 詳細 | ○ | ||||||
COD排出量の多い⽣産事業所の 河川放流⽔のCOD総量 |
2016 年度 |
▲10% | ー | ー | ▲10% (中期3年間) |
+4.2% | × | 詳細 | ○ | ||||||||
化学物質 影響の低減 |
化学物質の排出・移動量の削減 | VOC⼤気排出量(国内) | 2019 年度 |
▲3% | ー | ー | ▲1% | ▲6.7% | ○ | 詳細 | ○ | ○ | |||||
⽣態系 | ⽣態系影響 ⽣態系劣化へのリスク最⼩化 |
土地利用通信簿®評価点数 | 2019 年度 |
+3ポイント/3年間 | 全事業所で ⽣態系配慮※推進 ※⽣態系配慮:⽣物多様性の定量評価の向上 |
全事業所で ⽣態系配慮の維持 |
+2ポイント | +3.3ポイント | ○ | 詳細 | ○ | ○ | |||||
教育・啓発 | 社会課題解決貢献力向上のための教育 | 従業員の社会課題解決 貢献⼒の向上(従業員教育) |
人材の課題解決力指標 | 2020 年度 |
課題解決力の高い人材に必要なスキルを伸ばすための教育と⼈材指標チェック実施。2020年度にベンチマークを把握し、⽬標値を設定 | 課題解決力の高い⼈材としてのレベルアップ | 課題解決力の高い⼈材として社会をけん引 | ベンチマークを把握し 目標値を設定 |
目標値の設定 (ベンチマーク+10ポイント) |
○ | 詳細 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |