統合指標

自然・社会資本へのリターン率

統合指標「SEKISUI環境サステナブルインデックス」

SEKISUI環境サステナブルインデックスは、積水化学グループの企業活動が環境に与える負荷(自然・社会資本の利用)と環境への貢献の度合い(自然・社会資本へのリターン)をひとつの指標で表したものです。環境中期計画における重要実施項目である各種環境負荷削減、自然・社会環境に貢献する製品・サービスの拡大、環境の保全等の項目による効果をこの指標で統合化し、2014年度から試算を行っています。2017年度からは、このインデックスを、会社の環境経営全体の進捗をモニターする指標として活用しています。
環境中期計画(2017-2019)の3年間では90%を目指してきましたが、最終年度である2019年度には104.5%のリターン率でした。
2020年度からの環境中期計画において、SEKISUI環境サステナブルインデックスとしては、自然環境のみならず社会環境への負荷や貢献を評価し、自然資本および社会資本へのリターンに貢献していくことを宣言しています。2050年には、業容を拡大していく中でも、自然資本に加えて社会資本に対し、100%以上のリターンを維持しながらESG経営を推進していきます。

算出の結果

2021年度の実績を用いたSEKISUI 環境サステナブルインデックスの計算結果は、自然・社会資本の利用(自然・社会環境への負荷)を100とすると、自然・社会資本のリターン(自然・社会環境への貢献)は117.7%となりました(2019年度104.5%から13.2ポイント向上、2020年度121.9%から4.2ポイントダウン)。

リターン率の推移については以下のように分析しています。

  • (1)
    自然・社会資本の利用(負荷)について
    新型コロナウイルスの影響が徐々に払拭され、コロナ禍発現前の通常時の製品生産体制に戻ったことが環境負荷の増加の一因。ただし、エネルギーやサプライチェーン影響などはコロナ禍前の2019年度と比較すると自然・社会資本への負荷は減少。これは電力の再生可能エネルギーの転換や、サプライヤーや製品使用時の使用エネルギーが低くなる製品の販売(=ZEH仕様住宅)などの成果と考えられる。
  • (2)
    自然・社会資本のリターン(貢献)について
    サステナビリティ貢献製品によるリターン(貢献)は着実に増加傾向にある。一方で環境保全活動については、事業所における新型コロナウイルスの感染対策などの方針により、活動の実施や内容が制限され、貢献は減少している。

今後は、企業として成長し、業容を拡大していく一方で、自然・社会資本へのリターンにおいて100%以上を持続していきます。そして、2050年には地球上の自然資本および、地球上の人間社会において生み出された社会資本の持続的な利用の実現を目指します。

このインデックスにおいて、製品による課題解決を進めることは地球および社会のサステナビリティ向上に貢献し、自然・社会資本へのリターンを向上させていくことは積水化学グループおよび製品のサステナビリティ向上につながると考えています。

  • 11-05

上述の(1)で元となるデータを収集した後、(2)(3)の段階では、東京都市大学 伊坪教授らによって開発された日本版被害算定型影響評価手法「LIME2」を用いて計算を実施しています。

指標 算定方法
SEKISUI環境サステナブル
インデックス
SEKISUI環境サステナブルインデックス=グループ全体の自然資本のリターン量/グループ全体の自然資本の利用量
自然資本の利用量・自然資本のリターン量の算出
LIME2(東京都市大学伊坪教授らにより開発された日本版被害算定型影響評価手法)を用い、LIME2の定める4つの保護対象すべてを対象とし、「人間健康(地球温暖化の影響含)」「社会資産(地球温暖化の影響含)」「植物への影響(生長阻害の軽減)」「生物への影響(生物絶滅の抑制)」ごとに影響評価し、単一指標化
自然資本へのリターン量は、グループ全体の各種環境貢献の取り組みによって、取り組みを行わなかった場合と比べて自然資本への被害のリスクが低減したとして算出
  • 自然資本の利用量に算入した項目
    • 直接的な利用:
      土地利用、温室効果ガス、PRTR物質と大気汚染物質の大気排出量、水域排出のCOD量
    • 間接的な利用:
      購入原材料※1、エネルギー使用、取水量、廃棄物排出量、サプライチェーンでの間接的GHG排出量(Scope3)
  • 自然資本のリターンに算入した項目
    環境貢献製品による自然資本利用削減貢献量、環境保全活動による貢献量、環境関連寄付、メガソーラー発電量
    • ※1
      2017年度までは、一般社団法人 産業環境管理協会のデータベース「MiLCA」を使用して、GHG排出量を含めた環境負荷を計算し、把握を行っていたが、2018年度からは、主要4樹脂(PP、PE、塩ビ、PVA)に関しては原料サプライヤーの実際のGHG排出量を反映している。

<<算定範囲/算定分類別で記載>>以下の想定条件で試算
  • ●原材料:
    購入原材料を対象とし、推定を含めて算入
    住宅に関しては、1棟あたりの構成原材料に生産棟数を乗じて算入
  • ●生産/有害化学物質の排出:
    <国内>排出量1t/年以上のPRTR対象物質を計上、<海外>含まず
  • ●生産/土地の維持:
    国内工場・研究所の敷地面積を使用し原則として建物用地として算入※2、海外工場の敷地面積は推定。土地利用の影響は土地購入後30年間として算入
  • 2 土地利用に関しては、2017年度より、日本国内で推進している「土地利用通信簿®」において、土地の質が向上したものは、土地利用による影響が軽減したものとみなして重み付けを行い算入
  • その他:
    サプライチェーンとして資本財、その他燃焼およびエネルギー関連活動、輸送・配送、廃棄物、出張、雇用者通勤、リース資産(下流)、販売した製品の加工、使用、廃棄
    • ・出張・雇用者通勤:
      連結の従業員を対象とし、一部推定を含む
    • ・販売した製品の使用:
      当該年度に販売の住宅を対象とし、今後60年間のエネルギー使用を想定して算入。2017年度までは太陽光発電によるGHG削減分を負荷低減分として計算していたが、2018年度からはZEH仕様の住宅において使用エネルギーが削減される効果も算入を行っている。
    • ・販売した製品の加工:
      エネルギー使用量が大きいと想定される製品の顧客による加工時のエネルギー使用を想定して算入
    • ・販売した製品の廃棄:
      当該年度の主要原材料を対象とし、それらが製品となり当該年度に廃棄されたと想定して算入
  • ●製品貢献:(1)
    該当製品と従来技術との環境貢献の差を、ライフサイクルごと(原材料調達、生産、流通、使用・維持、廃棄・リサイクルの5段階)に自然環境および社会環境に対する貢献をCO2削減・省エネルギー、廃棄物削減、省資源、節水・水循環、汚染の防止、 生物多様性の直接的保全、QOL向上などの対象別で定性評価を行い、有意な差が推定されるものに関して、製品単位あたりのデータを調査
    (2)得られた調査結果※3をもとに、各データに応じて環境負荷を算出する係数を乗じて、製品単位ごとの環境貢献度を算出
    (3)(2)の結果に製品の当該年度の販売実績を乗じて製品ごとの環境貢献度を算出し、結果を算入。環境貢献製品の売上の59%に相当する製品の効果を試算
    ※3 カンパニーの個別基準に基づく
  • ●直接貢献/負荷低減活動による貢献:
    当該年度の生産に関わる環境影響を「2016年度の生産に関わる環境影響×(当該年度売上高/2016年度売上高)」と比較した差分を算入。売上高と生産に関わる環境影響は比例関係にあり、 その差分が活動による努力分との考えに基づく。
  • ●直接貢献/自然環境の保全:
    すべての活動内容に対しての参加人数と従事した時間を把握し、スギ植林した場合のCO2固定量(1.1t-CO2/人・hour)に人数・時間を乗じて算入。2017年度より、日本国内で推進している地域と連携した活動に関しては、地域連携、活動の自立(自主化)によって活動推進力の向上も目標にしていることから、この推進力の成長軸に対して重み付けを行い算入
  • ●直接貢献/寄付:
    保全のための支払い意思金額として、被害算定金額と同等とみなして算入
  • ●直接貢献/メガソーラー:
    発電量を創エネルギーとしてCO2換算して算入